中距離恋愛
約束の日、夏帆と一緒に待ち合わせのレストランに5分前に着いた。
案内された4名掛の座敷には、篠田さんと早瀬先輩が向かい合って座っている。

「早瀬先輩こんばんは。
篠田さん、お久しぶりです」
私は挨拶をしながら早瀬さんの隣に座った。
夏帆も篠田さんの隣に腰を下ろした。

「こんばんは。
ついてばかりだけど、左紀ちゃんは飲み物ビールでいい」
篠田さんに聞かれ、「はい、大丈夫です」と頷いた。
それからすぐ店員さんに
「すいません。
生を3つと、柚子サワーを1つお願いします」
とオーダーしてくれた。
さすがに夏帆がビールが苦手なこと、知っているのね。
そして、柚子サワーが好きなことも…

「料理は先に頼んだから」

「……………」
「……………」
「……………」
「……………」

篠田さんがそう言ったあと、沈黙が訪れる。

「お待たせ致しました。
生3つと柚子サワー、アスパラのベーコン巻きでございます」
その沈黙を破ったのは、ドリンクと先付を運んできた店員さんだった。

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