中距離恋愛

~飛鳥Side~

左紀に、
「早瀬先輩に頼みたいことがあるから、どうしても会いたいの!」
と言われたのは土曜日。

せっかく、これからデートというときに、他の男に会いたい(それが俺の友達でも)…なんて言われたら、いくら大好きな彼女の頼みでも、すぐにはOK出来ない。

「大地に?どうして?」
不機嫌さや、嫉妬心を悟られないように気をつけながら尋ねる。

「うん、あのね…」
それから左紀は、大地に会いたい理由を教えてくれた。
親友の夏帆ちゃんが元カレにストーカーされていて、そのストーカーから夏帆ちゃんを守って欲しいこと。
本当は剛に頼るべきだけど、剛は離れているし、夏帆ちゃん自身が剛に伝える気がないこと。
剛がそばにいない今、夏帆ちゃんを守れるのは大地しかいないと思ったこと。

話しを聞いた、俺は大地に連絡を入れた。
左紀が話しがあるから会いたいと伝えると、訝しがりながらもOKしてくれた。

左紀を連れて、大地と約束した場所に向かう。

助手席に座る左紀を見つめて思う。

¨左紀…
今、何を考えている?
夏帆ちゃんのことで、頭がいっぱいだろう?
片隅にでも、俺はいるのか…?¨


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