CHECKMATE


「あぁ……。妹の美穂の方は自首した形にして、ヨンパチ(被疑者逮捕から検察への押送までの制限時間)内に送検される流れだが、密売組織との関連性も調べたいからと、今回はウチが調書を取る事にさせて貰った。姉の絵里に関しては、東から頼む」
「……はい」

千葉の声に反応するように、皆の視線が夏桜に集中した。

「姉の絵里さんは現在精密検査中ですが、既に明らかに膠原病の症状が出ています。先日説明したように、主に蝶形紅班、多発性関節炎、痙攣がみられ、昨夜の尿検査に於いて血尿も確認しました。詳しい検査結果が出ないと断言出来ませんが、私の所見ではSLE(全身性エリテマトーデス)で間違いないと思います」

夏桜は刑事さながら、落ち着いた声色で報告した。

「絵里本人の話によると、4年前に結婚詐欺に遭い多額の借金を作り、それを返済する為に紹介されたのが木内だそうだ。クラブで働きながら返済していたそうだが、2年前くらいから体調を崩し始め、次第に返済が滞るようになり、払えなくなった姉の代りに妹の美穂が働くようになったそうだ」

千葉の言葉に、場の空気が重々しくなってゆく。

「妹の美穂も姉同様、クラブで稼いだ金を返済に充てていたが、姉の治療費も重なり返済に行き詰った所、木内から“美人局”の話を持ちかけられたそうだ。………それが半年前」

その場にいる誰もが口を真一文字に閉じて、千葉を見据えている。

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