CHECKMATE

何が言いたのか分かってる。

数カ月間一緒に暮らし、お互いに信頼もしている。
仕事でもプライベートでもいい関係を築いたのは間違いない。

けれど、『刑事』という立場で考えると、やはり不安は尽きない。
いつ自分の命が危険に晒されるとも限らないし、凶悪事件を解決した高揚感から来る感情だったのでは?と。

見たら触れたくなるし、触れたら抱き締めたくなるし。
抱き締めたらキスしたくなるし、キスしたらその先も求めてしまいそうで。

夏桜が入院している間に事件が解決して、色々な後処理的な事務作業をしながら、事件への想いが冷めるのと一緒で。
抱いた感情も時間が経てば冷めるような気がして……。

「一輝」
「ん?」

隣りに座った彼女は真っすぐ千葉を見据えてゆっくりと口を開く。

「可愛げもないし、美人でもないし、面白みにも欠けるし。それに頭が切れる分、イラっと来るだろうし。甘えることは出来ないし、ずけずけと言いたいことは言うし」
「ちょっ、……おい」
「特段にスタイルがいいわけじゃないし、お金はあるけど使い方知らないし、それくらい遊び方も知らないから相手するのも面倒だと思うし」
「待て、……夏桜」
「お洒落だって最低限のことくらいしか興味ないし、男性を喜ばせるような仕草一つ出来ないし」
「自虐ネタか?」
「データを処分しても、この脳を悪用しようとする輩がまた出て来るかもしれないし」
「っ……」
「だから、きっとこの先も」
「夏桜っ、いい加減にしろっ!!」

千葉は声を荒げて夏桜の腕を掴んだ。

「胸に傷だってあるから、それ見る度に事件思い出すだろうしっ……、気持ちが冷めたって仕方ないと思ってるっ。……だけど」

夏桜の瞳から大粒の涙が零れ落ちた。

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