クローバー的恋事情
「ただいま」


「おかえりなさーい。今、お母さんがお風呂入ったよ。お兄ちゃん、遅かったね。残業?飲み会?」


時間は9時を少し過ぎたところだった。


「いや、香奈と会ってきた」


「わ、香奈さんと?ねえねえ、元気だった?」


「うん。ちょっと、待ってて。着替えてくるから」


「はーい」


お兄ちゃんにいろいろ話そうと思って、楽しみに待っていた。だけど、お兄ちゃんの話も聞きたい。香奈さんと何を食べてきたのかな?久しぶりのデートはどうだったかな?


「お待たせ」


「あ、お兄ちゃん。バウンドケーキ、食べる?チョコと抹茶、どっちがいい?それとも両方食べる?」


「チョコだけでいいよ。それ、軽井沢の?」


「そう、お土産にもらったの」


軽井沢に出張に行くことは話していた。


「このブタは?」


藤沢さんからもらったブタをテーブルに置いて眺めていたのだった。今日の藤沢さんを思い出しながら。
< 162 / 248 >

この作品をシェア

pagetop