夢のような恋だった

コンビニは徒歩五分の位置にあるのですぐに着いた。
明るい店内に入ったと同時に、彼は握っていた手を離す。


「ごめん、会計の時だけ離れてて」


そう言うと彼は、衛生用品のおいてあるあたりに行き、お泊りセットや下着をかごにいれる。
その中に、隠すように避妊具も入れられていた。

あ、そういうことか。と思ったら顔が熱くなってきて。

私は知らんぷりして明日の朝食になりそうなものを物色した。


それぞれに買い込んだものは袋一杯になって、コンビニを出る時、智くんがそれを両方右手に持って、左手を私に差し出す。


再び繋がった手を振りながら帰路につく。

カサカサ、とレジ袋が鳴り、浮かれるように足取りも速くなる。


部屋にたどり着いて、買ったものもそこそこに辺りに投げ出して、一緒にベッドに転がり込んだ。


ぎゅっと抱きしめあってキスをして。
体を覆う衣服が邪魔だと感じ始める頃、彼が電気を消すために立ち上がった。

暗くなる部屋。
カサカサ、とレジ袋の音。

ベッドの上の私は彼に手を伸ばす。

< 171 / 306 >

この作品をシェア

pagetop