夢のような恋だった

手を合わせ、今度はプレゼントの包を開ける。
雑誌なんかでよく見るショルダーバックだ。

こういうの、見つけてくるのはお父さんかな。
画材の買い物とかが多いから、ショルダーバッグが楽だって前に話したの、覚えていてくれたんだろうか。


「……ありがと」


小さく呟き、包装紙を小さくたたむ。

昔なら無条件に飛びついていって「ありがとう」って言えたけど、今はなぜか出来ない。
今更遠慮するなんておかしいなって自分でも思うのに。


「どう? 気に入った?」


声とともに和室に入ってきたのはお母さんだ。


「うん。可愛いね。お父さんが選んだの?」

「そうよ。紗優のプレゼント選びは私に譲ってくれる気ないらしいわ」

「あはは」


お母さんは話しながら私の横に来たかと思うと、慣れた仕草でお線香を付けた。

左の薬指には、今も指輪が二つ収まっている。
一つはパパがくれたっていう指輪で、もう一つはお父さんがくれた指輪だ。


「……お母さんはいいね」


思わずポツリと呟いてしまって、慌てて口を抑えた。

でも、時既に遅し。私のつぶやきに、お母さんは眉根を寄せている。


「どういう意味?」

「いや、いいの。ゴメン」

「良くないわよ。何か気にかかることがあるなら言いなさい。……反抗期の理由はそれ?」


お母さんは私を逃してくれる気はないらしい。私は仕方なく小さく告げた。

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