ジャスミン

〜茉莉〜

〜茉莉〜

眩しい光が視界を遮る。

キキーィ!という音が間近で響く。バタバタッと数人の足音が聞こえたと思ったら、あっという間に茉莉はその中の一人に後ろから抱きしめられた。


『な、なんで…?』

振り向かなくても誰かはすぐに分かったが、この状況に言葉が続かない。

ギュッと抱きしめる力が強まると、震えていた身体は次第に落ち着きを取り戻す。

『もう、大丈夫だから。』

心地よい声に茉莉は涙を流しながら頷くだけで精一杯だった。

『部長、いい加減に茉莉を解放してあげてくださいっ!』

一方、泣きながら健司に詰め寄る親友。


『…。』

健司は、突然のことに呆然と立ち尽くしている。

『これ以上、茉莉を傷つけたら許さない!』

茉莉の耳元から感情を抑えた低くて、鋭い声が響いた。
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