ジャスミン
『おはようございます!茉莉さん。』

席に座ると爽やかな声が近づいてくる。

『おはよう!西川くん。』

『何か、部長が茉莉さん来たら一緒に部長室に来いって言ってましたよ。』


『…そう。じゃあ、行こうか?』

部長からの呼び出しに一瞬ドキッとするものの、西川くんも一緒ということで安堵する。

手帳を持つと、彼とともに部長室を目指す。


トントンッ

『失礼します。お呼びですか?』

部長室の扉を叩くと部屋へと足を踏み入れる。

窓の外の景色を見つめていた部長は茉莉の声に振り返る。

『あぁ、おはよう。朝から悪いな?』

真っ直ぐと茉莉を見る部長の瞳は最近の鋭いものではなく、昔の穏やかな優しい眼差しを思い出すものだった。


(…上手くいったんだ。)

茉莉は確信すると部長に穏やかに微笑む。

『…大事な話があるんだ。まぁ、座ってくれ。』

二人をソファへと促す。
西川と隣り合わせに座ると向かい側に部長も座った。

『実はこの会社がフランスに進出することになった。』
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