ジャスミン
『あぁ、そうだったね。実は今、君が手掛けている支社の方のプロジェクトに汐里も参加させてもらおうと思ってな。
どうだろう?汐里はきっと君の役に立つと思うんだが。何なら嫁に貰ってくれてもいいんだかな。はっはっは。』

『は?それはちょっと…。』

『もぉ、お嫁さんなんて!叔父様ったら課長を困らせないで下さいね。』

満更でもなさそうに叔父を窘める汐里は得意の上目遣いで颯太郎を見つめる。

『そういう事ですので、課長の足手まといにならないように頑張ります!』


あまりに馬鹿馬鹿しい事態にしっかりと言い返せない間に、汐里にかき消されてしまい、専務の提案(汐里の思惑?)は確定事項になってしまった。

『はっはっは〜じゃあ、よろしく頼んだよ?』

『…失礼します。』

ご機嫌な様子の狸から逃げ出すべく早々に部屋から退室する。


『…どういうつもりだ?』

専務室から出て無言で暫く歩いていた颯太郎は立ち止まり振り向くと、後ろを付いてくる女を冷ややかに睨みながら問いただす。
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