ジャスミン

〜颯太郎〜

〜颯太郎〜

「分かりました」
携帯の画面を確認すると、それをテーブルの上に置きソファに身体を預ける。

『これで良かったんだよな？』

一人っきりの部屋で誰に聞かす訳でもなく呟く。

今度の日曜日…クリスマスイヴの日に俺は茉莉に別れを告げる。

『くそっ…！』

自分で決めたことなのに、胸の中のモヤモヤは時間を追うごとに大きくなっていく。颯太郎は右手で心臓の辺りを服の上からクシャッと掴むと必死にその痛みと向き合う。


ピンポーン
どれくらい時間が経っただろうか…部屋に鳴り響くインターホンの音で我に返ると立ち上がり、応対する。

『はい。』

『颯太郎〜早く開けてよ！寒いっっ！』

『は？おまえ…。』

颯太郎の状況を知ってか知らずか能天気な声にガクッと力が抜ける。オートロックを解除すると、ついでに玄関のドアの鍵も開けておく。


『はぁ〜重かった！』

ガサガサッとキッチンのテーブルにビニール袋に入った酒類を置くと大樹は手首を労わる。

『何だよこれは…。』

颯太郎は呆れた声をあげながら袋の中のものをテーブルの上に出していく。
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