ジャスミン
『現実問題として、茉莉ちゃんや颯太郎に伝えたことは嘘じゃないわ。
金子には味方ばかりじゃないし、隙を見せたら大変なことになることだって十分考えられるわ…ただ一つ、誤解を招くような言い方をしてしまったけど、二人が一緒になるにあたって茉莉ちゃんが仕事を辞める必要はないのよ。
実際辞められたら、うちの会社は大ダメージを受けるわ。
二人には強い信念を持って欲しかったの…辛い想いをさせてしまってごめんなさいね。』

早紀江は真摯な姿勢で二人に頭を下げて謝る。その姿に茉莉はおろか颯太郎もこれ以上責めることは出来なかった。


確かに茉莉と離れたことによって辛く苦しかったが、それ以上に自分が茉莉のことを強く想っていることに改めて気付かされた。仕事面においても強い信念を持って今まで以上に広い視野で物事を判断出来る様になったのだ。


『俺たちには必要な通過点だったってことか…。』

『え?…さっきのお義母さんたちの話のこと?』

隣りを歩いていた茉莉が、颯太郎の呟きに反応する。
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