ジャスミン
茉莉は歩きながら、佐伯が言った「心強い味方」を思い出す。


自分のことのように、いつでも力になってくれる美香と大樹。

常に見守り背中を押してくれる健司と香苗。

年下ながら引っ張ってくれる西川。

温かく受け入れてくれた幸太郎と京子。

無償の愛を与え続けてくれる父と母。


そして愛することを教えてくれた愛しい人。


こんなにもたくさんの人が私と共に生きてくれている。
そんな自分を誇りに思いたい。
そして誰よりも愛してあげたい。


茉莉はステージの先端で立ち止まると、手に持つブーケを高く投げた。


すると突然会場が再び暗転する。スポットライトが茉莉のみを照らす。

『え…。』

茉莉は状況が分からず、立ち尽くす。

するとメインステージに一人のタキシード姿の男性がスポットライトに照らされ登場する。

『颯太郎?何で…。』

颯太郎は真っ直ぐに茉莉を見つめながら歩みを進める。

茉莉は只々その姿をジッと見つめる。

観客たちも固唾を飲んでその様子を見守った。
< 344 / 348 >

この作品をシェア

pagetop