ジャスミン
『だけど、裏切っていることには変わりはないよ…。私にはもう無理。』

『…おまえさー、好きな奴できた?』

健司の突然の質問に身体がびくっとなる。

『…そういうことか。』

今まで聞いたことのない、健司の低い声に目を合わせることができない。

『好きだったのは俺だけってことか。』

『…えっ?』

健司の言葉に思わず顔を隣に向ける。
腕をグッと引っ張られて、無理矢理に唇を合わせられる。

『んっ、や、めて…。』

茉莉の言葉を無視するかのように、口づけは深くなり息をすることもままならない。

(こんなの、私の知ってる部長じゃないよ…。)

どんどん深まる行為に、茉莉は抵抗するのを諦め、この時間が早く過ぎ去ることを願った…。


茉莉の頬には涙がつたったー。

一通りのことが終わると、健司は茉莉の頬につたう涙を手の甲で拭き取り、タバコに火をつける。

『…俺は認めないからな。』

茉莉は無言で衣服の乱れを直すと、ドアを開けてフラフラする足取りで歩き始めた。

健司はしばらくバックミラーごしにその姿を見つめると無言で車を走らせたー。
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