ジャスミン
颯太郎は、ある建物の前に立ち、その高さを見上げる。

ここらへんのオフィス街では群を抜いて高くそびえ立つビル。

これは、颯太郎の会社の本社ビルだ。色々な事業に手をつけていることもあって、あちこちに支社ビルも持っている。

自分もいつか、このビルで働く社員たちの生活を背負っていくのだと思うとより、気合いが入る。


『颯太郎く~ん!』

突然肩を叩かれ、我に返ると一番会いたくない奴。予想通り、いやそれ以上の笑みを浮かべて肩を組んでくる。

『おまえ、わざとだろ?』

金曜の夜の出来事は大樹と美香の確信犯的行動に間違いない。

『何のこと?それより、親友の俺と積もる話もあるだろうから晩飯どこ行くか決めておいてね~!』

ほぼ、決定事項のように断言して、大樹はスキップでもしそうな勢いでビルの中へと消えて行った。

『まったく…あいつには敵わないな。』

颯太郎は、大樹の強引さに呆れつつも「親友」と言われたことで心が温かくなるのを感じていた。

『よし、今日も頑張るかっ。』

気持ちを切り替えて、自らもビルの中へと消えて行ったー。
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