さあ、好きになりましょうか。
8.自己嫌悪
店を出て送らなくていいと断ったのに、もう暗いから心配だと聞かない関谷に負けて結局家まで送ってもらうことになった。


「返事はいつでもいいです」


ふと会話が途切れて二人の間に沈黙が流れたと思ったら、関谷がぽつりと言った。


「別に俺、焦ってるわけじゃないし、いつまででも待ってます。あ、大学も愛子さんの大学受けるつもりだし!」

「え、まじ?」

「愛子さんの嫌な顔最高っすね!」


とりあえず、驚いた。


「待ってるって……それじゃ、関谷はいつまでも何もないままだよ」

「いいですよ。愛子さんが振り向いてくれるなら俺、何年かかってもいいです!」


うわ、今すげえ告白受けた。


言わないけど、なんてかっこいい奴だと思った。そんなことをサラっと言えちゃうなんて。


なんでそんなに一途なんだろう。一人の男として尊敬する。


「……その間に、関谷が知らぬ間にあたしは他の男といろいろしちゃうかもよ」

「う…………そ、それは、ちょっと、いやかなり妬けます」


苦い顔をした関谷を見て、あたしは笑ってしまった。


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