お見合いの達人
こぽこぽと

コーヒーメーカーが

コーヒーを落とす音だけが

室内に響く。


「まあ、私もあなたを家に連れてくる時点で、

 ちょっと浅い行動だったなあって反省してるけど」


「だなあ、あんたって浅いよね」


「むかつく、

 あなたに言われたくないわよ。


 こんな深夜に、

 コンビニくらいしかないから

 しょうがない連れてきただけだから。


 あなたも、その、寒そうだったし……」



まだ秋とはいえ夜はかなり冷え込む、

あの時間はすでに11時を過ぎてて、

ショッピングモール内にはもう明かりも消えてた。



外で待ってたこいつは、あたしの腕をつかんだ手を離しそうになかったし、

職場付近で騒ぎたくなかったし、

それに、

悪い気はしなかった、

この年になるまで、

私をこんな風に待ち伏せする男なんてそういなかったから。


ああ、浅いそれが浅いんだよ。


「とりあえず飲んだら?身体あったまるわよ」


「サンキュ」


「飲んだら帰ってね?」


「じゃ、飲まない」


「はあ?」


「これが飲み終わらなかったらそれまでいていいってことでしょ?」


何が言いたいんだこの屁理屈男!


「ああ、分かったわよ、事情聞くから、それによって考えるから。


 とりあえず飲みなさいよ。」



ああ、私は本当に甘いんだと思う。


良く今まで生きてきたな。


あきれるわ。


嬉しそうにコーヒーをすする男を横眼で見ながらため息をついた。










 

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