佐藤さんは甘くないっ!

―――しかしその後も三神くんはいつもの人畜無害な表情しか見せず、仕事は変わらずてきぱきとこなしまたもやノルマをさらっとこなしてしまった。


これなら佐藤さんの仕事を手伝うのも楽々できてしまうだろう。

喜ばしい反面、うちの部署に元から配属された彼の同期たちは少し肩身が狭そうにも見える。


部長を始めとする上役の人たちはまだ2日目の三神くんを褒めちぎり、わたしも教育者としてついでに褒めてもらえた。

……褒められても全然嬉しくないけど。

愛想笑いの中でそう言わんばかりに冷めた表情をしている三神くんに気付いてしまい、わたしは何とも言えない気持ちでひとり帰路に着いた。

奇跡の定時上りなのに心はどこか沈んだまま。


明日は佐藤さんが帰って来る日なのに……どうしよう……。


告白の返事なんて全く考えていなかったけど、なんだか無性に佐藤さんに会いたかった。

たった2日間離れていただけなのにこの寂しさはなんだろう。

上司がいないからってこんな弱気になっちゃだめだ。


泣きそうになって瞼を閉じれば豹変した三神くんの冷たい瞳が甦ってくる。

……でも、どうして、わたしにあんなこと言ったんだろう。

以前なにか言われたことでもあるんだろうか……。

ぐるぐると考えても何も解決しない。

今まで後輩なんていなかったから上手い接し方も解らない。

もしかしたらわたしの何かが気に入らなくて彼は怒ったのかもしれない。

思い付かないけど、きっとわたしに落ち度があったんだ。


はぁ、と溜息を吐いて昨日と同じように家のベッドに沈み込んだ。

朝よりもずっと頭が重たい。

明日三神くんに理由を聞いてみよう。

……せっかく仲良くなれそうだったのに、距離を置かれてしまうのは悲しい。


微睡みながら見た世界で、ケータイの着信を告げるランプが点滅していた気がした。

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