画家と大家
美大時代、一度だけ有名な賞を取った事がある。たまたま。それだけの俺を誰も認めたりはしなかった。


実力も無いのに注目されるのは辛いが、実力も注目もされないのはもっと辛い。


自分の無い物ねだりには呆れて反吐が出る。


今じゃ絵を描く意味すら失いかけてる。


眠てぇ。


深夜の仕事が生活を蝕む。高時給に焦がれた罰だ。


生きる為に働くのか、働く為に生きているのか。境界はぼやけて滲んで流れてしまった。


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