Caught by …
 一人で寝るのとは違う温もりにすっかり安心して、ぐっすり眠っていた私。

 まだ薄暗さの残る朝。目を開けて、窓をぼんやり見て、そして気づいた。お腹に彼の腕、背中に密着する彼の体、絡まる足。

 気づいた途端に身体中が火照って、彼から距離を取ろうとするが、しっかりと抱き締められていて動けなかった。

 何よ、何もしないって言ったのはレイなのに。

 ドキドキは高まっていくばかりで、首筋にレイの息がかかる度に身体が反応してしまう。

 勝手に起き出して早く離れてくれることを、息を潜ませて願うしかない。私は無理矢理に目を閉じて、彼を意識しないようにと努めていた。

 すると、くすくすと笑う声が聞こえた。驚いて後ろを見た私に、彼が優しい笑顔を向ける。間近で見るそれは私の目を、心を奪って、鼓動を暴れさせた。

「急に体が熱くなってどうした?発情してるのか?」

「ちがうっ…!」

 意地悪を言う彼に反射的に返した私は、顔を背けた。彼の笑顔は私を落ち着かせない。頭の中を占拠してしまうのだ。

「これでも…?」

 そう言うと私の耳を甘噛する彼。情けなく声を漏らす私に「スイッチ入っちゃった?」と囁く。

「別にっ、そんなんじゃないわ」

「俺はもう我慢できない」

 彼が体を起こして私に覆い被さり、両手首を掴んで頭上に押さえつけた。突然すぎて呆ける私を見下ろすレイから優しい笑顔は消えていた。荒い息、獣のような目。純粋に怖いと思った。
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