Caught by …
 彼に腕を引かれて入った部屋の温もりにほっとする。そして、カップケーキの入った箱をテーブルの上に置いてマフラーとコートを脱いだ。

「レイの好みが分からなかったから、適当に買ってきたんだけど…」

 そう言って振り返ろうとしたら、突然目の前が真っ暗になった。

「ちょっと、レイ?」

 戸惑う私の目を手で覆うのはレイ。くすくす笑う振動が私を包んでいる。

「見せたいものがある」

「え、何?」

「とりあえず歩け」

 視界を遮られて一足踏み込むのも怖いが、なんとかレイに支えられて歩く。数歩歩いた所で止まる。

 何があるんだろうと緊張する私から彼の手が離れた。伏せていた目を上げた。

「あ、あれ!なんで…」

 そこには、昨日レイが買ったソファーがあって、混乱する私を他所に彼がそれに座った。そこは元々、あの安っぽい窮屈なソファーがあった場所で、だけど今はなくなっている。

 どうして、とか、あのソファーはどこ、とか、色々聞きたいが、目をぱちくりさせることしかできない。

 とにかく深呼吸をして落ち着かせ、冷静に考える。

 多分、カップケーキを頼んだのはこのソファーが届けられる時間帯に私を外に出すためだったのだ。前のソファーはもう処分してないのだろう。まぁ、それは別に構わないのだけど…。

「あ、あの、レイ、どうしてそんな高いソファーをうちに?」

「ん?セシーリアも気に入っただろ?それに、前のは俺が座るには狭かったし」
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