黄昏に香る音色 2
足を止め、香里奈と直樹の様子を見守りながら、

明日香と里美は、話をしていた。

「警察には…」

明日香の問いに、

「通報してないわ」

里美の返事に、明日香は頷いた。

「明日香…あいつら誰なの?」

里美は、明日香を見た。

「あんた。誰か、わかってたから…脅すだけにしたんでしょ」

明日香は黙り込む。

もう夕陽が、完全に沈んだ。

「明日香!」

明日香は、ゆっくりと歩きだす。

「明日香!」

明日香は振り返らずに、こたえた。

「KK…ダブルケイと呼ばれているわ」



「ダブルケイ…」

里美は呟き…

はっとした。

「それって…もしかして…でも…そんなはずは…」

明日香は足を止め、

「生きていたのよ」

明日香は、道の先にある店を見つめ、

「啓介が」



それは、香里奈たち親子の未来を、

暗く遮る陰となっていた。

まるで暗闇の如く。

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