黄昏に香る音色 2
「KKの音は、心の傷に話しかける。深い傷をもつ者程、墜ちやすい」

ジャックは、耳栓を確かめた。

これがなければ、自分とて危ない。

「これでほしかったものが、手にはいったわ」

ティアは、ステージを見つめながら、

「KKと演奏ができるバンドと…全面に出て、バンドの顔となる」

「歌姫という…傀儡」

崩れ落ちた志乃と、

大輔たちが立ち上がる。

「さあ!始めなさい」

ティアが、ステージに近づく。

「今、全米で流れているあなたたちの曲!」

志乃は、マイクを握りしめる。

「KKを加え、新たなるステージへ!」

志乃たちは、演奏を始める。

KKのサックスが、演奏に参加した。

それは、とても素晴らしい音だった。

音だけを、感じることができたら…。

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