黄昏に香る音色 2
恋人
パニックになった会場を背にして、

KK…

いや、

啓介は、歩いていた。

「うう…」

いきなり、頭を押さると、啓介は呻きながら、通路の壁に手をつけた。

「ここは…」

頭がはっきりとしない…

霞がかかっているような感覚。

「何やってるんだよ!」

知らない女が、殴る映像が浮かぶ。

啓介は、その場に崩れ落ちた。

「俺は…どこにいるんだ…何をしてた…」

思い出せない。

「あ、明日香…」

啓介の頭に、明日香の顔が浮かぶ。

「明日香…俺は…」



「KK!」

遠くから、ティアが近づいてくる。

啓介は目を細め、ティアを見る。

光の中から現れたティアが…

「啓介…」

笑顔で向かってくる。

「ゆ、ゆ、百合子…」

啓介には、天城百合子に見えた。

「うわあああああ!」

絶叫とともに、

啓介の精神は、また落ちていった。





ライブハウスに、ゲストで呼ばれていた啓介は、

出番を終え、アルトサックスをケースにしまう。

「お先に。お疲れ様」

知り合いのバンドメンバーに、挨拶すると、外に出た。

「啓介さん」

ドアを開けると、

一人の女性がいた。




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