黄昏に香る音色 2
真夜中の薄暗い照明と、

月明かりの中、

明日香は佇んでいた。

恵子が眠る墓地。

こんな山の中の墓地に、

夜中、来る人はいないと思われるが、

防犯の為、明かりは付いていた。

それに、まだ上の方にも、何軒か民家はあった。



明日香は、恵子の墓を見つめ、

「ママ…。あたし…こわいの…今更だけど…」

明日香は少し…無理やり微笑んだ。

「啓介と向き合うのが…」



風が強い。

明日香の髪が、風になびく。

「絶対生きてると…信じて、今まで来たけど…」

明日香は考えていた。

こういうとき…ママなら、何て言うかしら…。

「アメリカでも、探したけどね…いざ、生きてると知って…確実に、会えると分かっていても…」

明日香は目を閉じ、

「こわいの。生きていたのに…今まで、会いに来なかったということは…もう、あたしに会いたくないのかもしれないと…」

明日香は目を開け、

ゆっくりと言葉を紡ぎ出した。

「でもね…ママ」

明日香の頬を、涙が流れた。

「そんな考えじゃ…ダメなの」

明日香は泣き顔で笑い、

「明日。どういう結果になろうと…あたしは、啓介に会うわ」

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