黄昏に香る音色 2
香里奈のライブが終わり、

里緒菜たちと別れ、

和也と直樹は、二人…家路を歩いていた。

ダブルケイから、家まで、時間にして、歩いて15分くらいかかる。



「どうした?直樹」

和也は、直樹の様子がおかしいのに、

気づいていた。

俯き加減で、どこか暗い表情の直樹。

返事がない。

「直樹!」

和也は、直樹の腕をつかんだ。

直樹は、顔を伏せたまま、

笑い出した。

大声で。

「直樹…」

和也を見ずに、顔を押さえながら、直樹は言った。

「輝いてた太陽が、大好きで…手を伸ばしてた」

直樹の笑いが…

変わっていく。

「それなのに…届きそうに思えた太陽は、あまりにも、眩しすぎて…」

直樹は、泣いていた。

「俺なんかとは、釣り合わない…」

「直樹!」

直樹は、和也の手を振り解くと、

「別れた方がいいのかもしれない…俺なんかとは…」

そう言うと、直樹は走り出した。

「直樹!待て!」

和也の言葉も無視して、

直樹は、

もう暗くなった夜の中に、消えていった。



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