黄昏に香る音色 2
里緒菜の表情が、引きつる。

そんな里緒菜に、優はにゃっと笑う。

「やっぱり…図星なんだあ…ハハハハハ!」

抑えきれないかのように、笑いが止まらなくなる。

里緒菜は、思いもよらないことを言われた為、言葉がでない。

「あんたの劇を見たとき、思ったの…この台詞はまじだって…」

優は、固まっている里緒菜の耳元で呟く。

「親友の彼氏なのに…よくやるよ」

里緒菜は、歯を食いしばり、

やっと動けるようになった。

キッと優を睨み、

「あたしは…役者。ただ演じただけよ」

里緒菜も、顔を近づける。

「その演技を…本気と受け取らせたのでしたら…ごめんなさい…」

里緒菜は微笑み、

「あたしの演技が、上手すぎて」

優は、馬鹿にされたと感じだのか…顔を真っ赤にして、

「あれは、演技じゃないわ」

「演技よ」

「ちがう!」

「演じたのは、あたしなんだから」

納得しない優。

「絶対ちがう!あたしには、わかるわ!好きだから」

いつのまにか、形勢が逆転している。

里緒菜は、落ち着きを取り戻していた。
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