黄昏に香る音色 2
太陽と日射し
「行って来まーす」

香里奈は、飛び降りる如く、二階から、階段を駆け下りた。

「忘れ物はないの?」

里美の声が、後ろから聞こえた。

「たぶん、大丈夫!」

忘れ物なんて、気付いたら、忘れない。

香里奈は、ダブルケイの扉を開けると、勢いよく、駅までの坂道を駆け抜ける。

ダブルケイは、山の麓にあった。

でも、店から山道を登ると、新興住宅地になっており、意外と通勤時は、人通りは多い。

地下へ降りる駅の入り口を、無視して、まっすぐ走ると、

やがて住宅街に入る。

それを抜けたら、学校は近い。

「おはよう」

「速水さん、おはよう」

行き交う生徒たちが、声をかけてくる。

香里奈も、挨拶をしながら、ひたすら走る。



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