黄昏に香る音色 2
「J…あなたは、連れて行けないの…」

Dで呼ばれる少女は、

Jを抱きしめて、

「あなたは…目が見えないし…早く走ることもできない…」

「D…」

「ごめんなさい…あなたとは姉妹なのに…」

そう言って抱きしめるDには、片手がなかった。

「何してる!いくぞ」

Qと呼ばれている少年は、Dを促す。

「J…さようなら…。できるだけ…長生きしてね…」

少年少女たちは、窓から飛び降りた。

すぐに、大人達の怒声が、響き、

銃声が轟いた。

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