黄昏に香る音色 2
パーフェクト・ボイス。

奇跡の歌姫として、ジュリアの人気は、鰻登りだった。

批判するところがない。

それが、批判する材料になるぐらいだった。

ジュリアは、何万人もいる会場に、

歌声と微笑みを向ける。

凄まじい歓声と、熱気。

しかし、

ジュリアは…。


目が見えるになって、広がった世界…。

ジュリアは目をつぶった。

ゲットーの子供たちの笑顔が浮かぶ。


今、目の前に広がる何万の歓声の…顔が見えない。

目が見えてるのに、

ジュリアには…見えない。


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