黄昏に香る音色 2
オーディションは終わり、最終5人までに絞られた。

その中には、優も入っていた。




「ちょっと待って下さい」

通路を歩く志乃達に、里緒菜の母親が、後ろから声をかけた。

「どうしました?」

大輔が立ち止まり、振り向いた。

「なぜ、あの5人なのですか?どうして、速水香里奈を落としたのですか?」

里緒菜の母親の質問に、大輔は頭をかいた。

「それは…」

「最後まで、1曲通して歌えたのは、彼女だけですよ」

「その理由は、僕もききたいなあ」

母親の後ろから、髭を生やした長身の男が、一歩前に出てきた。

「矢野浩一」

志乃が呟いた。

「今回のオーディションは、君たちが選んで…僕がプロデュースする。本当はあまり口出しするべきではないが…」

「あたしたちの審査結果に、不満だと…おっしゃるんですか?」

志乃は体を、矢野に向け、腕を組んだ。

矢野は両肩をすくめ、

「プロデューサーの目で見れば…彼女こそ、実力、話題性すべてが、揃っていたはずだが?」

矢野浩一。

今をときめく、ヒットメイカーであり、数多くのアイドルを育成しているが…

音楽を知ってる者から言えば、

ただのパクリだった。
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