天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「しかし…クレア様。このことは、他の方々は、ご存知ではないのでありますか?」

シュナイザーの疑問に、クレアはただ笑った。

男の一つの口から、二つの違う声が、形態模写のように交互に、交ざり合う。


「知っておるだろうな…。少なくとも、先読みの力があるアギトは…」

「それならば…なぜ?」 


男は、馬鹿にしたように笑い、

「ケッ!黒い陰…。最悪の運命…。切り裂される空…。あらゆる災害を身に纏う…恐怖が、そばにいるらしい」

「恐怖?」

「そうだ!」

男は机の上に、肘を乗せると、そのまま…顎を撫でた。


「しかし…我々以上の力を持つ…生物などこの世には、いない…」

男は、目を細めた。

「いたとしても!」

そして、また深々と椅子に座り、背をもたれさせ、

「あたしが、殺してあげるわ…」

男は、ちらっと正面の扉の上にある時計を見ると、

「早く…時が過ぎないかしら…」

男は含み笑いをもらし、

「みんな…殺してあげるに…」

と、嬉しそうに言い放った。

「今夜は、長いわよ…」

「はい」

シュナイザーの声が頷いた。

「永遠に目覚めない夜…………死をプレゼントしてあげる」

クレアは、自分の台詞に苦笑した。




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