天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
騒々しく
放課後。

学校の外れ…体育館の裏で、人の目を避けるように、響子は壁にもたれていた。

その上に、無数の目が壁に生えていた。


「人間じゃない?」

性眼の報告と、響子は自分で見た状況を検証する。


「確かに…あの魔力は…」

思い出しても、額から冷や汗が流れる。

響子は唇を噛み締め、

「それに…クレアに…ドラキュラ…。ファイブスターの内…二人はここに来てるとか…」

明らかに、響子と性眼だけでは、守れない。

しかし、かといって…援軍もいない。

(狼神は…来ない)

響子は首を捻り、

(あと…わからないのは、あの雷という生徒と…天道という転校生…)

その二人の目的が、わからなかった。


「どちらかが…味方だったら…」

響子は、戦力を整えたかった。

「だけど……性眼の報告が、正しければ……向こうは、女神をその転校生だと思ってるようだ」

響子は、少し口元を緩め、

「悪いが……それを利用させてもらおう」



響子が、そんな思いを巡らしている時、

帰り支度をしている梓の後ろで、じっと見つめている輪廻。


そして、その輪廻を襲おうとしていたドラキュラを捕まえ、空牙は屋上にいた。


夕焼けが、校舎を染め…赤く輝く光の中…目深にフードつきのコートを羽織ったドラキュラは、まるで、

蛇に睨まれた蛙のように、動けずにいた。

「き、貴様…」

ドラキュラは苦々しく、空牙を睨んだ。

空牙はドラキュラを見ずに、屋上から夕焼けに照らされている街並みを、見つめていた。

学校は、高台にあるし、まだ高い建物がない平野は、遠くの方まで見渡せた。

「世界が変わっても、夕焼けは美しい」

空牙の言葉に、ドラキュラはせせら笑った。

「お前が…我々と同じバンパイアならば…太陽が美しいだとお!ありえぬ!」

夕焼けであっても、ドラキュラの肌には、熱かった。

空牙はフッと笑い、

「美しいものを…美しいと感じられぬ。なにが、神か」
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