天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
陰謀の花
「なぜ!お目通りが、叶わぬ?」

巨大な石の回廊。

まるで…トンネルのような長く、先が見えない廊下を、マリーは歩いていた。

「只今、ライ様は…誰にも、会う気はないとのことで、御座いまして…」

マリーの少し後ろで、焦りながら歩く魔物。

背は120センチくらいで、小柄。そして、蛙の顔をしていた。

「あたしは、娘よ。父に会うのに、なぜ許しがいる!」

蛙の魔物を振り切って、奥へ進もうとするマリー。

「私が、王に叱られます」

脂汗を流しながら、懇願する蛙。

「知るか!」

マリーの苛立ちが、頂点に達した時、

前方の地面から、何が滲み出てきた。

それは…すぐに形を成し、巨大な影と化す。

すぺての光を、飲み込むブラックホール。

それが、人の形をしたもの。

「ラル…」

マリーは苦々しく、その影を睨んだ。

魔王の側近中の側近……光喰いのラルだった。

「今…王は、瞑想中です。例え…女神であろうと、ここを通す訳には、いきません」

ラルの射抜くような視線に、マリーは舌打ちした。

マリーは足を止め、ラルと対峙する。

マリーの額に、汗が滲み…流れた。

手を上げようとするが、ラルのプレッシャーで動けない。
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