天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「いくよ!みんな!」


「おう!」

掛け声と同時に、一斉に走り出した6人の戦士。

巨大なドラゴンに向けて、助走をつけると、

6人はジャンプした。

「月影!」

空中で6人の右足が輝き、闇を切り裂く。

「キック!」

6つの光が、1つになり、巨大な槍と化した。








「好調だよ!映画も」

今月の興行収入を見て、ほくほく顔のプロデューサーに、頭を下げる小太りな監督。

「テレビの方も視聴率が、上がりだしねえ!」


カードシステムが崩壊したとはいえ、旧時代の貨幣制度に戻るわけがなく、

人々は、相変わらず魔力をお金の代わりにしていた。

武器などの召喚、魔法を発動することはできなくなったが、カードに魔力を貯めることはできた。

それを、調理器具や車…などに差し込んで使うことは前と同じだった。

いわば、クレジットカードのような用途だけが残ったのだ。


「我が局は安泰だ!魔王や魔神といったところで、まだまだこの国には、魔物が少ないしな!それに、人々は娯楽をつねに、求めるものなのだよ!ははは!」

プロデューサーの高笑いが、スタジオにこだました。


ブルーワールドも、実世界のようにテレビはあった。

魔物が普通にいる世界では、ファンタジーは当たり前だった。


そんな中、魔法が存在しない世界を舞台にした物語が、人気を取っていた。


「お疲れ様でしたあ!」

スタジオの奥のセットから、赤や青、緑の戦闘服を着た女の子達が撮影を終えて、プロデューサーと監督の前に来た。

みんな…なぜか眼鏡をかけていた。

「お疲れさん!お疲れさん!」

プロデューサーは、カードをヒラヒラさせながら、女の子達に笑顔を向けた。

「監督!今日はもう撮影は、終わりですか?」

プラチナに輝く戦闘服を来た女の子に、監督は頷いた。


「また明日頼むよ」

「はい!」

監督の言葉に、戦闘服を着た女の子達が姿勢を正した。

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