天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
ギターの音が響く。

切なく…激しく、遣る瀬なく、

言葉を引き連れて…。











暗闇から、仔猫の鳴き声が聞こえてきた。

寂しく、悲しく、

自分を救ってくれる者を求めて…。


だけど、触れようとしたら、逃げていく。


たった1人で生きれる強さを求めながら、

誰も1人では生きれない。

お前が、服を作れるのか?

お前が、食物を作れるのか?

お前の話す言葉も、考える思考も、

誰かが残した過去の上にある。

たった1人で生きれる強さを求める者は、

決してその強さを得ることはない。

それが、人だからだ。

自分勝手に生きろ。

そして、もがけ。


そのうち…お前は知るだろう。

己の弱さを。


人は心の中で、泣き叫ぶ。

その声に、誰かが気づいてくれると期待しながら。


期待しながら、


お前はそれを否定する。



だから、お前は人なのだ。

自分勝手と弱さが、重なる時、

お前は知るだろう。

それが、強さだと。



闇の中で、鳴く子猫のように、

声にはだせない。


そうだ…

人は声に出せない。


本当の思いを…。

だから、

人は、精神的には1人。


今夜も、月に照らされながら、

夢という逃げ道に迷い込む。


強さとはなんだ?




それが、わかる者は、


人であらず。





「そう…人ではない」

誰もいない街角で、ギターを弾いていた女は、フツと笑った。

その傍らには、

眼鏡ケースがあった。






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