天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「どこへ行く!」

結界士達を振り切って、サーシャは結界をくぐり抜けると、魔物達の領域へと足を踏み出した。

都市の東側…結界の一番端近く。

無言で歩くサーシャの背中に、結界内から、結界士や守備隊員が叫ぶ。

「今は、全員待機命令が、出されているはずだ」

そんな命令…サーシャには、関係なかった。

サーシャは、ある意味…死人なのだ。

「聞いてるのか!」

振り返りもせず、ただ歩いていくサーシャ。

「命令違反は、銃殺だ」

守備隊員が、銃を構えた。

銃口をサーシャの背中に向ける。

すると、サーシャはいきなり足を止めた。

「そうだ!こっちを向け」

凄まじき落雷が、サーシャの足元に落ちた。

サーシャは、軽く後方にジャンプした。

今まで、雲一つなく、晴れていた空に、巨大な黒雲が浮かんでいた。

「な、何だ?」

守備隊員はビクッとし、銃口を外し、尻餅をついた。

結界士達が一斉に空を見上げると、雲が地上に落ちて来た。

サーシャは右手を一振りすると、ドラゴンキラーを装着した。

雲は、質量を持つ羽に変わり、上空から一瞬にして、サーシャの目の前に着地すると、

圧縮され…人型へと形作った。

「驚いたぞ!そなたの気を、感じた時は」

「サラ!」

サーシャは、ドラゴンキラーの切っ先をサラに向けて、構えた。
< 133 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop