天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「あなたは!?」

さらに拳を突きだしてくるリオの腕を脇に挟むと、

九鬼は足を払った。

合気道のように回転し、また床に激突したが、

リオにダメージはない。

「あたしに、お前の攻撃は通用しない!」

「チッ」

九鬼は、後ろの女子生徒が気になったが、

それどころではない。


月の光がない時は、乙女ソルジャーになれる時間は限られていた。

乙女ケースに、夜中…月の光を当てておき、ムーンエナジーをチャージしておかなければならないのだ。

九鬼がかけている眼鏡の端に、警告の表示が浮かんだ。

相手からは見えないが…変身していられる時間が、1分を切っていた。

「死ね!」

リオが襲いかかってきた

月の女神を守護する為に存在する…と言われている乙女ガーディアンは、

乙女ソルジャーと違い、

昼間でもムーンエナジーをチャージできるのだ。

「月影の秘密を知る乙女ブラック!九鬼真弓!」

リオがジャンプした。

「お前は、危険だ!」

両足を揃え、ドロップキックの体勢で、九鬼に向かってくる。


「クッ!」

九鬼は顔をしかめると、リオ向かってジャンプした。






九鬼とリオの戦いの様子を横目で見ている女子生徒に、

梨絵がキレた。

「どこ見てるのよ!」

女子生徒を指差しながら、

「あんたは、月影の正体を知ってしまった!悪いけど、ここから生きて帰すことはできなくなったわ」

乙女レッドの姿で凄む梨絵を、女子生徒はちらりと見た。

そして、鼻を鳴らした


その馬鹿にしたような反応に、梨絵の怒りが増した。

「貴様!状況がわかっているのか!」

一歩前に出た梨絵の足が、コンクリートの床にめり込んだ。

女子生徒は、梨絵の足元を見て、

今度は鼻で笑った。


「貴様!」

レッドの戦闘服から、炎が揺らめいた。

「フン!」

女子生徒は、体を梨絵に向けると、顎を上げて見下しながら、言った。

「わかっているさ。貴様が雑魚だとな!向こうの2人に比べればな」

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