天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
この部屋に、何があるのか…わからない。

ティアナは、何を封印したのか。

誰に残したのか。

わからないが、答えはわかっていた。

ジャスティンは、ドアに一礼した。

「あなたの娘…天空の女神の為」

しばらく礼のまま、じっとしてから、ジャスティンは、また廊下を歩き出した。

他の安定者は、ここにあるのは、ヴァンパイア・キラーではないかと思っている。

老獪な安定者は、言った。

「もし…ここにあるなら…魔王との交渉の切り札になる」

ニヤリと笑う老人達と違い、ジャスティンには、そう思えなかった。

もし、ここにあるなら、

魔王は、奪いに来るはずだ。

それに、遮断する結界は、どこか暖かい。

「あれは、女神しか使えないものだ」

ジャスティンはそう確信すると、ただ歩き続ける。

「しかし…女神は、これを手にできるのだろうか?」

ジャスティンは、まだ見ぬ天空の女神ーー

アルテミアのことを思った。

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