天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ったく!邪魔くさいなあ」

校門は、生徒達でごった返していた。

「はい。一列に並んで下さい」

5人の先生達の前に列ができ、1人1人の持ち物検査をしていた。


「おはようございます!何してるんですか?」

列に並ばずに、少し外れた場所で、頭をかいていた女生徒に、明菜は声をかけた。

女生徒は振り返り、しばらく明菜を見つめ、

「沢村じゃねえか!元気になったのか!よかったな!」

女生徒は沢村に抱きつき、ぎゅっと抱き締めた。

「ぶ、部長…すいませんでした。ご心配おかけしました」

「よかった。よかった」

明菜から離れると、今度は明菜の肩を、何度も叩いた。

「我が演劇部のホープがいないと、寂しいからなあ」

演劇部部長、中山美奈子。

この学校の三年だ。

「おはようございます!部長…えっ!明菜!?元気になったの!」

明菜と美奈子は、後ろから声をかけられ、振り返ると、

背筋を真っ直ぐに伸ばし、姿勢の美しい矢崎絵里がいた。

「絵里!」

今度は、明菜が絵里に抱きつく。

「心配かけて、ごめん」

「元気になって、よかったわ」

2人の様子を、美奈子は嬉しそうに見つめていた。
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