天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「え…あっ…これは」

反論する間もなく、先生は僕の手を取り、

指輪を抜こうとする。

その瞬間。

「ぎゃ!」

先生の叫び声とともに、肉が焼ける音と匂いがした。

「どうしました?海童先生」

思わず、飛び上がった海童に気づき、牧村優一が僕に近づいてきた。

「指輪が…」

海童は焼けた指を押さえながら、指輪を指差した。

「指輪?」

優一は、僕の左手を見、

「普通の指輪ですが?」

確認してから、海童の方を向いた。

「普通の指輪って…こ、校則違反でしょ!」

確かに、校則違反だが…普段なら、これくらい見逃している。

しかし、今は…。

「すまない。放課後には、返すから…今は、先生に預けてくれるかな」

優一は、僕に小声で囁いた。

「でも…」

僕は、指輪を渡すのを渋った。

この前の苦労もある。

もう絶対、外さないと決めたのに。

でも…この状況は、断れない。

「ごめんな」

優一は僕の腕を取り、指輪を一気に抜き去った。

先程の海童とは違い、指輪は…簡単に抜けた。

「え!」

目を丸くした僕とは違い、

海童は…焼けた指を押さえながら、ほくそ笑んでいた。
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