天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
いらついていた里緒菜は、少しつっけんどんな態度になってしまう。

しかし、香里奈は気にしていない。

表情を変えずに、

「水が生きているみたい」





香里奈の言葉をきいて、里緒菜は耳を疑った。

「何それ?意味がわからない」

里緒菜は、下を見てみた。

普通の板でできた床に溜まった水が…

動いていた。

水が流れているではない。

水が動いているのだ。

川の中で、魚が全身をうねらせて、泳いでるように。

水自体が、泳いでいるのだ。

「里緒菜!上!」

香里奈の叫び声に、

里緒菜は急いで、上を見た。

「な、なに?」

天井から滲み出た水が、透明なゼリー状の蛇のようになり、

うねうねと、天井の表面を、這い回っていた。

「気持ち悪い!」

里緒菜と香里奈、美奈子以外の部員は、あまりの気持ち悪さに、

机の上を飛び回り、出口へと向かう。

しかし、一番端の机でも、扉からは遠い。

天井の蛇が、頭を上げた瞬間、

部員達は耐えきれなくなり、下の水たまりに、足をつけた。




「井田…秋本……泰子…どうした?」

3人が、足を水につけた瞬間、

動きが止まった。
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