天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「全国民のカードに、一斉送信!女神の動きを、逐一伝えろ」

老安定者の言葉に、ジャスティンは驚き、思わず椅子から立ち上がった。

「そんなことをしたら、パニックになります」

「いいんじゃよ…すぐにあぶり出せる」

老安定者の口元に、いやらしい笑みが浮かぶ。

「あぶり出す?」

ジャスティンは訝しげに、老安定者を見…やがて…

その思惑に気付いた。

「天空の女神か…」



(ククク…)

6人から、含み笑いが出た。

ジャスティンは崩れるように、椅子に座った。

そして、頭を抱え、

(こいつらは…国民のことなんて考えていない)


「いいではないか!必ず、三人の内、誰かは死ぬ。我々が、手を下さなくても」

「アルテミアは、我々の…人類の味方です!」

ジャスティンの言葉に、6人は鼻で笑った。

「所詮。やつも魔王の娘」

「1人くらいは、道連れにして殺してほしいわ」

「あやつは危険だ」

安定者達の言葉に、ジャスティンは絶望した。

(こいつらは…自分のことしか考えていない)

民間の勇者レベルが、何人か立ちはだかり、女神達の通り道になる町の駐屯部隊は出撃したが、

一瞬にして、壊滅した。

(せめて…天空の女神よ…早く気付いて、倒してくれ)

ジャスティンの切なる願いに、何が呼応していた。

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