天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「かかと落とし!」

思わず、その技の体勢に、僕は感動したが、そんな場合ではない。

「アルテミア!後ろに、避けろ!」

「チッ」

舌打ちしたアルテミアが、後方にジャンプするのと、ジュリアンの足が振り落とされるのは、同時だった。

直撃はしなかったが、アルテミアの肩口から、血が吹き出した。

止血をしている暇もない。

前転をしながら、ジュリアンは近づいてくる。

後方に飛びながら、アルテミアは叫んだ。

「アルティメット・モード!」

ストロング・モードから、アルティメット・モードへ。

純白の鎧が、アルテミアを包み、黄金に輝き出す。

赤き瞳と鋭い牙。

溢れ出す魔力が、すべてを圧倒する。

「これなら、どうだ!」

フラッシュ・モードより速く、ストロング・モードよりパワーは数段増している。

前転から、起き上がったばかりのジュリアンを掴むと、渾身のパンチをジュリアンのレバーに、叩き込んだ。

しかし、

拳から放たれた電流と衝撃は、ジュリアンの体にヒットしたが…

にやりと笑ったジュリアンは、自分を掴んでいるアルテミアの左手を掴んだ。

その瞬間、電撃と衝撃は、ジュリアンの右手を伝い、アルテミアに戻っていく。

「はっ」

気合いをいれたジュリアンの気もプラスされ…さらに、増大して。

「な」

アルテミアの体は、後方に吹き飛ばされた。
< 290 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop