天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
実世界にもどった僕は、普通の生徒として、学校に登校した。

昼休みになり、僕は食堂に向かって、廊下を真っ直ぐ歩きながら、信長のことを考えていた。

朝から、ずっと。

授業なんて、聞いていなかった。




依頼の為、数ヶ月潜り込み、近づいた信長は、噂や歴史認識とは違い、

魔王といわれるほど、恐ろしい人物ではなかった。

ただ聡明で、何事にも興味を持ち、すべてを理解していた。いや、理解しょうと努めていた。

あの時代の人間とは、思えない程に。

突然、おかしな服装で現れた僕を拒否せず、興味を持ち、大切な客人として扱ってくれた。

日本という国だけでなく、世界を理解していた。

安土城の離れに、僕の為に、部屋を提供してくれた。


「これから、どうする?」

僕は小声で、囁いた。

アルテミアは、答えない。

さっきから、無言だ。

「アルテミア」

名前を呼んでいると、障子の向こうに、気配を感じた。

僕は口を塞ぎ、息を飲んだ。

「夜分、遅く申し訳ない」

僕は、その声の主がわからなかった。

「蘭丸…」

アルテミアがしゃべった。

「え?」

僕は思わず、声を出した。

障子が開き、姿を見せたのは、森蘭丸だった。





< 412 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop