天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
変革
「現在交戦中である…ニューヨークより、打電あり!ほとんどのゾンビを、地下鉄内に、誘導することが完了!指示を待つそうです!」

衛星軌道上に、新たに建設された魔法防衛軍総本部内で、オペレーターの声が響いた。


アルテミアに破壊された総本部は破棄され……新たにつくられた総本部は、使える限りのポイントを使い、数日で建設されていた。

それも、宇宙につくるという考えは、この世界にはなかった。

まだ…世界の大部分が魔界であり、人だけで存在する場所がない世界で、空に関心が向くことはない。

それを強引に、空に建設させたのは、新たな安定者たちであった。

空気を確保する為に、莫大に消費される魔力は、つねに大量のポイントの供給が、必要とされていた。

「アメリカって…確か、一年程前に…壊滅したんじゃないの?」

基地は、衛星というよりは、戦艦のような形をしており…そのブリッジ内の艦長席で、胡坐を組みながら、佐々木神流は、大欠伸をした。


「確か…軍隊と行政機関は、崩壊したけど…民衆は残っているはずだ。一般の戦士達が、ポイント集めに上陸しているらしいぜ」

神流の隣で、ブリッジの窓から見える地球を眺めながら、松永伸介がこたえた。

「へぇ〜そうなんだ」

あんまり興味なさそうに、神流は言った。

二人のそばには、無言の西園寺俊弘が立っていた。


「いかがなさいますか?」

オペレーターは、三人に指示を仰いだ。

「ふわああ」

欠伸でこたえた神流と違い、松永がきいた。

「ゾンビの数は?」

「正確な数は、わかりませんが…約数万です!」

すぐに、オペレーターがこたえた。

「じゃあ!攻撃!」

神流が、人差し指を突き出し、地球の雲の下の大陸を、指差した。

「レクイエム!発射!目標!ニューヨーク!」

楽しそうに、告げる神流に、ブリッジ内にいた十数名の隊員が、絶句した。

レクイエム…衛星軌道上から、核兵器以上のエネルギー波を放つ…破壊兵器である。

これにより、基地は向こうからの攻撃を、受けることなく、一方的に攻撃できる……完全兵器である。

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