天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
赤星は、全身に力を込め、気合いを放った。

その瞬間、球状の赤い結界ができ…それは、すぐに弾けた。すると、迫って来た数千の手が、すべて蒸発した。

「バカな…」

アグアは絶句した。

赤き瞳を、赤星はアグアに向けた。

アグアの全身に、悪寒が走る。思わず、後退ろうとしたが、アグアは何とか思い留まった。そして、強がりの笑みを作った。

「あ、赤星!罠にかかったのは、お前の方だ!」

アグアの叫びに、フレアは顔を上げた。

「え?」

カメレオンの魔物も、慌てて空を見た。

そこには、月を隠す黒い影が十個…。

「あ、あれは…」

カメレオンの魔物は、恐怖から体を震わせた。

「あはははは!」

アグアは、高笑いをした。

175センチしかない赤星を、頭上から見下ろしながら、

「お前が、女神クラスの力があっても…魔神十一人を相手には、戦えまい!」

十人の魔神は、赤星を囲うように、水面や水辺に降り立った。

「あ、兄貴…」

カメレオンの魔物は、再びフレアの背中に隠れた。

フレアは無表情に、赤星を見守る。


「この地で、朽ち果てろ!赤星!」

魔神達が、襲いかかろうとした時、赤星は右手を突き出した。

その動きに、魔神達の動きが止まる。

赤星の右手の薬指に、はめられた…指輪が輝く。

「モード・チェンジ」

赤星は呟くように、言った。

指輪から、光が零れて…白い鎧が、飛び出した。

赤星の全身に、装着されると、鎧は赤く燃え上がる。

アルティメット・モード。

鎧を身につけた赤星は、池中に、一歩踏み出した。

赤星の足が、池の水に触れた瞬間、

池の水は一滴残さず、蒸発し…アグアもまた、声を出す間もなく、消滅した。

赤星は動きを止め、周囲に立つ魔神達を見回した。

舐め回すように、魔神達を見ると、赤星はにやりと笑った。

魔神達は、本能から後退った。

赤星の口元から、鋭い牙が覗かれた。
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