天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
求める旅へ
水がなくなった池の化石に、転がる九体のミイラ。

最後の一体に、かぶり付き、血を啜っている僕に、メロメロが声をかけてきた。

「あのお…兄貴…。全員吸っちゃったら、話し聞き出せないんじゃないのメロ?」

その言葉に、僕は吸っていた魔物を地面に落とし…我に戻った。

「しまった!」

魔神という久々のご馳走に、目を奪われ、肝心なことを忘れていた。

僕は、頭を抱えた。

(そうだ!昨日、普通のご飯を食べていないのが、いけなかったんだ!)

目先の魔神に、目を取られて、肝心な目的を果たせなかった。

「おい!」

吸い終わりかけていた最後の魔神に、声をかけたが…半ミイラ化していて、もうこたえることができる状態ではない。

「まあ…いいじゃないですか!まだ魔神は、九十人以上いるんですからメロ」

カメレオンの顔を笑顔にして、メロメロは、赤星の肩を叩いた。

「はあ〜」

僕は大きく、ため息をついた。




カードシステムを司る格納庫での死闘から、数ヶ月…。

僕は、ブルーワールドと言われる…もう一つの世界を旅していた。

目的は、僕と同じ世界から来た沢村明菜を救い出すことと、

天空の女神アルテミアを止めること。

あの日、アルテミアにライトニングソード華烈火を突き刺した…あの日…

僕は、アルテミアの魔力と僕の魔力が、ぶつかり合うことで、数千キロも先に、飛ばされていた。

一瞬の内に、気付いた時には、まったく別の大陸にいた。

そこは、僕の世界でいうオーストラリアにあたったけど…今までこの世界に来て、魔物がいる以外…あまり変わらなかった世界観が、一変した。

そこは、正しくロストワールドだった。

妖精が飛び回り、精霊が歌う。

巨大な爬虫類が闊歩し、我が物顔でそれらを狩る……魔物達。

それだけではない。

その魔物達と、戦う剣や盾を持った人間達。

この地に降り立った僕が、見たものは…魔物と人間、そして爬虫類との、三つ巴の戦いだった。

人間は、剣や槍で戦い、中には、杖を持った魔法使いもいた。

(機械系がない?)

ホウキに乗った人間が、空中で、翼竜と戦っていた。
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