天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「死なれちゃ〜困るしな」

もうピアスの声も、僕には聞こえない。

店の破片が、目にも止まらないスピードで飛んできて、

僕の頬を切る。

(痛い…

痛い…

痛い…?)

「痛いいいい!」

僕は予想外の痛みに、パニックになる。

(夢じゃないの…)

ゴブリンが咆哮した。


「ヒィィ!」

震え上がる僕は、何もできない。


「しゃーねぇなあ」

ピアスがため息をつくと、僕にきいた。

「さっきの指輪してるか?」

僕は訳わからず、首を横に振った。

「はめやがれ!」

ピアスの怒声に慌てて、僕はポケットに手を突っ込み、

指輪をはめた。

「よし!じゃあ、叫べ!

あなたのような綺麗な美しい女性に出会って、家畜のような僕には、もったいない!人生最高の幸せです。

ああ、なんて…幸せなんだろ。

あなたの美しさは罪だ…。

モード・チェンジ!って叫べ」


ゴブリンの臭い息が、僕にかかる。

「い、い、言えるか!」

僕は恐怖で、泣き声になる。

「夢なら、覚めてよ!」

「馬鹿か!記憶力ないのかよ!仕方がない…短縮してやる!モード・チェンジと叫べ!」



「も、もももモード・チェンジ!」

僕は叫んだ。

すると、指輪から、光が溢れ、僕の体を包んだ。

その瞬間、

夢で見た…

あの美女が、姿を現す。

「ヴィーナス。光臨!」
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