天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
アルテミアは、立ち上がり、両手を広げた。

「見ろよ!赤星!」

岩場の周りを、いや…世界中を聖霊や、妖精が舞う。

「ちょっと前までの…冷たい世界と違い…今は、匂いがする。風にも、火にも…緑にも……世界は、生きているんだと、実感できる」


「この世界には、この世界の流れがある…」

アルテミアは、崖の上に立ち上がり、空を見上げ、風を感じる。

「思い出すよ。あたしが、天空の女神だということをね」

思い切り背伸びをし、太陽の光を浴びる。

「体は、大丈夫なの?今は、モード・チェンジしてないんでしょ?」

僕の質問に、アルテミアは首を傾げ、

「そうだな……あまり、衝動はないな。そりゃあ…血は、吸わなきゃならないけど……いつもという訳じゃない」

アルテミアは、自分の手を見つめ、

「多分…あの頃は、余裕がなかったんだ……人間になりたい……お母様みたいになりたいって…表面ばかりを気にしてた。今は思う…あたしは、あたしだし…お母様は、人間だから、お母様みたいになれる訳じゃないってね」

「アルテミア…」

「赤星……。お前の世界で伝えられてるバンパイアは、太陽が嫌いらしいな」

「闇の存在だからね…」

「光と闇……闇だから、光を嫌う……。そんな単純なものじゃない」

アルテミアは、地平線まで広がる世界を見つめた。優しい眼差しで。




「赤星!」

いきなり、アルテミアの表情が険しくなった。

「うん!」

僕も聞こえた。

戦う力なき者の悲鳴が。

「モード・チェンジ!」

アルテミアの背中に翼が、生えた。エンジェルモードだ。

大空に飛び立つアルテミア。



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